『家庭簿 父という男たち』文藝春秋
父親不在時代のガイドブックと銘打った本書はユニークな13人の父親像を炙り出します。時代の流れと共に職業柄や血縁関係も大きく揺らぎ、日本人家庭の標
準像もぼやけてきました。そんな中で父をまじめに演じる男たちは悩み、試行錯誤を重ねていきます。私自身も父が病弱だったがゆえに、常識的家庭を味わった
ことがありません。そこで常識外れな少数派の家庭を日本中に訪ね、その有様を記録することにしました。他人と違う家庭環境に育ったからといって、それをト
ラウマのように後生抱えて思い悩む必要は何もありません。そんなメッセージを込めながらまとめた90年代フィールドワークの一冊です。